最終更新日:2025.10.03
『円形脱毛症』について、皮膚科専門医が解説しました!

定義
円形脱毛症(Alopecia areata)は、自己免疫反応により毛包が障害され、頭皮や体毛の一部に境界明瞭な円形または楕円形の脱毛斑を生じる疾患です。小児から成人まで幅広い年齢で発症し、男女差はほとんどありません。
症状
主症状
頭皮や眉毛、まつ毛、体毛における突然の限局性脱毛斑
特徴
- 脱毛部の皮膚は炎症や瘢痕を伴わず、表面は正常に見える
- 脱毛部の周囲に「感嘆符毛(根元が細い毛)」がみられることがある
重症型
- 多発型:複数の脱毛斑が出現
- 蛇行型:頭髪の生え際が帯状に脱毛する
- 全頭型:頭髪がすべて脱落
- 汎発型:全身の毛が脱落
治療方法
円形脱毛症の治療は、重症度や年齢、進行度に応じて選択されます。根治療法はなく、再発を繰り返すことがあるのが特徴です。
外用療法
- ステロイド外用薬:炎症抑制を目的に使用
- 局所免疫療法(SADBE, DPCP など):軽いかぶれを起こし免疫反応を調整
- ミノキシジル外用:脱毛範囲を縮小させる可能性がある。
内服・注射療法
- ステロイド内服/パルス療法:重症例で短期的に使用
- 局所ステロイド注射:単発型、多発型の脱毛斑に有効
- JAK阻害薬(バリシチニブ、リトレシチニブなど):近年承認された新しい治療選択肢(中等度~重度例に有効)
光線療法
- PUVA療法、エキシマライト:免疫調整作用を期待
重症度別の治療の流れ
- 軽症例は自然軽快することも多いため、外用治療や経過観察が中心。
- 中等症例は局所免疫療法が効果的で、日本でも広く行われています。
- 重症例は従来治療の限界がありましたが、JAK阻害薬の登場で治療の選択肢が大きく広がっています。
- いずれの重症度でも再発しやすいため、長期的なフォローアップが重要です。
【重症度】軽症(限局性、脱毛斑が少数、面積小)
- 【特徴】
境界明瞭な小さな円形脱毛斑(頭髪の一部) - 【主な治療法】
ステロイド外用薬-局所ステロイド注射(小範囲例に有効) - 【備考】
多くは自然軽快する可能性あり。まずは外用治療を中心に。
【重症度】中等症(多発型、脱毛斑が広範囲または持続性)
- 【特徴】
複数の脱毛斑、進行傾向あり - 【主な治療法】
外用療法(ステロイド)- 局所免疫療法(SADBE, DPCPなど)- 光線療法(エキシマライト、PUVA)- 内服ステロイド(短期) - 【備考】
外用で不十分な場合に局所免疫療法を検討。心理的ケアも重要。
【重症度】重症(全頭型、汎発型、蛇行型)
- 【特徴】
頭髪がほぼ全て脱落、または全身毛の脱落 - 【主な治療法】
JAK阻害薬(バリシチニブ、リトレシチニブなど、近年承認)- ステロイドパルス療法- 光線療法の併用 - 【備考】
再発率が高く慢性化しやすい。新規分子標的薬が有力な選択肢。長期フォロー必須。
生活上の注意点
心理的ストレス管理
ストレスは発症・再発の誘因になり得るため、生活リズムを整え十分な睡眠・休養をとる。必要に応じて心理的サポートも検討。
皮膚・毛髪ケア
脱毛部を刺激しないようにする。頭皮に炎症や乾燥がある場合は皮膚科医の指示に従って保湿や外用薬を使用。
治療継続と経過観察
自然に改善する場合もあるが、再発しやすいため、定期的な診察を受けて治療方針を調整することが重要。
まとめ
円形脱毛症は自己免疫性の毛包障害による脱毛症で、自然軽快することも多い一方で再発や重症化もあります。
治療はステロイド、局所免疫療法、JAK阻害薬など多岐にわたり、生活面では規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠を確保し、ストレス管理なども大切です。
大阪市西区の「みなみ堀江クリニック」では、円形脱毛症を含めた皮膚疾患に対して幅広く「女性の皮膚科専門医」が診療しております。
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