『乾癬』について、皮膚科専門医が解説しました。

Disease description

乾癬

各疾患の説明

最終更新日:2025.09.19

『乾癬』について、皮膚科専門医が解説しました。

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定義

乾癬は、皮膚の表皮細胞が異常に増殖し、慢性的に炎症を起こす自己免疫性の皮膚疾患です。非感染性で、人から人へうつることはありません。皮膚だけでなく関節や全身の合併症を伴うことがあります。

主な乾癬の病型と特徴については、以下の通りです。

対称性尋常性乾癬(尋常性乾癬)

  • 【特徴】
    最も一般的。境界明瞭な紅斑+銀白色鱗屑。慢性に経過。
  • 【好発部位・備考】
    頭皮、肘、膝、腰部など

滴状乾癬

  • 【特徴】
    小型の紅斑が多数散在。小児・若年者に多い。溶連菌感染後に発症することがある。
  • 【好発部位・備考】
    体幹に多発

乾癬性紅皮症

  • 【特徴】
    皮疹が全身に拡大。皮膚が広範に赤くなり落屑。
  • 【好発部位・備考】
    重症型、入院加療が必要なことも

膿疱性乾癬

  • 【特徴】
    無菌性膿疱が皮膚に出現。発熱や全身倦怠感を伴うことがある。
  • 【好発部位・備考】
  • 掌蹠膿疱症と異なり全身型。重症例では入院治療

乾癬性関節炎

  • 【特徴】
    皮膚症状に加え関節炎を伴う。関節破壊のリスクあり。
  • 【好発部位・備考】
    手指・足趾関節、脊椎など

主な症状

皮疹の特徴

  • 境界が明瞭な紅斑(赤みのある斑)
  • 表面に銀白色の鱗屑(角質のかさぶた)が付着
  • 掻くと鱗屑がポロポロ落ちる(ロウ様滴、Köbner現象)


好発部位

  • 頭皮、肘、膝、腰部など摩擦を受けやすい部位
  • かゆみ:ある場合とない場合がある
  • 関節症状(乾癬性関節炎):手指・足趾の関節炎、脊椎炎

病態(発症メカニズム)

乾癬は多因子疾患で、以下の要因が関与します。

免疫異常

  • Th17細胞やIL-23/IL-17経路が活性化
  • サイトカイン(TNF-α, IL-17, IL-23)が過剰産生 → 表皮細胞増殖と炎症

表皮細胞のターンオーバー亢進

  • 正常:28日周期 → 乾癬:3〜7日で角化
  • 未熟な細胞が皮膚表面に現れ、鱗屑が形成

遺伝要因

  • HLA-Cw6 などの遺伝子との関連

環境因子・誘因

  • ストレス、感染(特に溶連菌)、薬剤(リチウム、β遮断薬)、肥満、喫煙、飲酒、皮膚外傷

 診断方法

臨床診断が基本

典型的な紅斑+銀白色鱗屑、好発部位の確認

皮膚生検(必要時)

表皮肥厚、角化異常、真皮乳頭の毛細血管拡張など

重症度評価

  • PASI(Psoriasis Area and Severity Index):皮疹の範囲・重症度
  • DLQI(Dermatology Life Quality Index):生活の質の影響度

治療方法

(1)外用療法(軽症〜中等症)

  • 活性型ビタミンD3外用薬(カルシポトリオールなど)
  • ステロイド外用薬
  • 併用で相乗効果あり

(2)光線療法

  • ナローバンドUVB療法など
  • 外用で不十分な中等症に適応

(3)内服療法(中等症〜重症)

  • シクロスポリン(免疫抑制薬)
  • アプレミラスト(PDE4阻害薬)
  • メトトレキサート(免疫抑制薬)

(4)生物学的製剤(重症例)

  • 抗TNF-α抗体(インフリキシマブ、アダリムマブなど)
  • 抗IL-12/23抗体(ウステキヌマブ)
  • 抗IL-17抗体(セクキヌマブ、イキセキズマブ)
  • 抗IL-23抗体(グセルクマブ、リサンキズマブなど)

治療のポイント

個々の患者の皮疹の広がり、関節症状の有無、合併症(糖尿病・高血圧・肥満)を考慮して治療を選択します。

原則は外用 → 光線 → 内服 → 生物学的製剤 とステップアップ。

全身状態(糖尿病、肥満、高血圧など)や関節症状の有無で治療を調整。

乾癬の治療ステップ表(日本皮膚科学会ガイドライン準拠)

軽症(皮疹が限局、PASI低値)

  • 【主な治療】
    外用療法(活性型ビタミンD3製剤、ステロイド外用薬)
  • 【補足】
    まずは外用療法から開始。ビタミンD3とステロイドの併用が標準。

中等症(広範囲、外用で不十分)

  • 【主な治療】
    外用療法+光線療法(ナローバンドUVBなど)
  • 【補足】
    外来で週2〜3回実施する場合が多い。

中等症〜重症

  • 【主な治療】
    内服療法(シクロスポリン、アプレミラスト、MTXなど)
  • 【補足】
    長期内服は副作用に注意。関節症乾癬にも適応。

重症・難治例(PASI高値、関節症合併、QOL著明低下)

  • 【主な治療】
    生物学的製剤(抗TNF-α、抗IL-12/23、抗IL-17、抗IL-23抗体)
  • 【補足】
    治療効果が高く、長期管理が可能。合併症や保険適応を考慮。

日常生活上の注意点

  • 皮膚の保湿:乾燥を防ぐことで悪化を予防
  • 刺激・外傷を避ける:掻いたり擦れたりすると新たな皮疹が出る(Köbner現象)
  • 生活習慣病の管理:肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧は乾癬を悪化させる
  • 禁煙・節酒:喫煙・大量飲酒は悪化因子
  • ストレス管理・十分な睡眠:再燃防止に有効
  • 感染予防:特に溶連菌感染後に乾癬が悪化することがある

アトピー性皮膚炎と乾癬の比較

  • アトピーは「かゆみが強い」「バリア機能異常」「アレルギー疾患との関連」が特徴。
  • 乾癬は「境界明瞭な紅斑+銀白色鱗屑」「自己免疫異常」「全身合併症との関連」が特徴。

アトピー性皮膚炎

  • 【定義】
    慢性・再発性のかゆみを伴う湿疹性皮膚炎
  • 【主な症状】
    強いかゆみ、紅斑、湿潤、苔癬化
  • 【好発部位】
    乳児:顔・体幹、小児:屈曲部、成人:顔・首・屈曲部
  • 【病態】
    皮膚バリア機能低下+Th2優位の免疫異常
  • 【発症因子】
    遺伝(フィラグリン変異)、乾燥、アレルゲン、ストレス
  • 【合併症】
    喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎
  • 【診断】
    臨床症状(かゆみ・湿疹・慢性経過)
  • 【治療】 
    外用(保湿剤、ステロイド、免疫抑制薬)、抗ヒスタミン薬、生物学的製剤(デュピルマブ等)
  • 【日常生活上の注意】
    保湿、掻破防止、アレルゲン回避、衣類・環境整備、睡眠
  • 【予後】
    小児期に改善することも多いが成人まで持続する例も

乾癬

  • 【定義】
    自己免疫異常による慢性炎症性皮膚疾患
  • 【主な症状】
    境界明瞭な紅斑、銀白色鱗屑、かゆみは軽度〜中等度
  • 【好発部位】
    頭皮、肘、膝、腰部、爪、関節部
  • 【病態】
    表皮の過剰増殖+Th17/IL-23経路の活性化
  • 【発症因子】
    遺伝(HLA-Cw6など)、感染、外傷、薬剤、肥満、喫煙
  • 【合併症】
    乾癬性関節炎、メタボリックシンドローム、心血管疾患
  • 【診断】
    臨床症状(紅斑+鱗屑)、必要に応じ皮膚生検
  • 【治療】
    外用(ビタミンD3、ステロイド)、光線療法、内服(シクロスポリン等)、生物学的製剤(抗TNF、IL-17、IL-23抗体など)
  • 【日常生活上の注意】
    皮膚の保湿、外傷予防(Köbner現象回避)、生活習慣病管理、禁煙・節酒、ストレス軽減
  • 【予後】
    慢性に経過、再燃しやすい。関節症や全身合併症に注意

まとめ

乾癬は「免疫異常による慢性炎症性皮膚疾患」で、典型的には「銀白色の鱗屑を伴う紅斑」が出現します。治療は 外用・光線・内服・生物学的製剤を組み合わせ、生活管理(肥満・喫煙・ストレス)も非常に重要です。

大阪市西区の『みなみ堀江クリニック』では、あらゆる皮膚疾患に対して皮膚科専門医の女性医師が適切に対応致します。皮膚症状でお困りの患者さまは。お気軽にご相談ください。

【著者 / 医師名】八尋 知里

資格
  • 日本皮膚科学会 皮膚科専門医
  • 緩和ケア研修会終了
専門分野

皮膚科疾患

最終更新日:2025.09.19

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